血液浄化療法を必要とする重症急性腎障害(AKI)の予後はきわめて悪い
体液過剰ではない乏尿の症例に対して,利尿薬をルーチンで投与するのは避ける
過剰な体液は,循環あるいは血管内容量が保たれる限りにおいて積極的に除去することが腎保護であると考えられるようになった
血液浄化療法の至適な開始タイミングに関するエビデンスが集積しつつある
急性腎障害(acute kidney injury:AKI)はICU症例の30~60%に合併する頻度の高い臓器障害であり,重症感染症の集中治療において,腎機能障害への対応はほぼ不可避である。敗血症にAKIを合併した場合は,相加相乗的に死亡率が上昇する1)。
重症AKIに対しては血液浄化療法が用いられるが,血液浄化を必要とするAKI(dialysis-requiring AKI)の予後はきわめて不良であり,わが国におけるdiagnosis procedure combination(DPC)データベースを用いた疫学的検討では院内死亡率が50%を超えることが報告されている2)。重症AKIに対する血液浄化療法の適応や治療条件の選択については数多くの臨床研究が行われているが,いまだ定まったエビデンスは得られていない現状がある。このような状況において,重症感染症に合併したAKIあるいは慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や慢性透析患者も含めた腎機能障害患者に対するアプローチは,予後改善においてきわめて重要であると考えられる。
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