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日野原重明氏が死去、105歳―福井氏「悲しみと喪失感は万言を費しても言い表わすことができない」

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日本のプライマリ・ケア領域のパイオニアである聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏が18日午前6時33分、呼吸不全のため亡くなった。105歳だった。病院葬は29日午後1時から東京・南青山の青山葬儀所で行われる。

日野原氏は1911年山口県山口市生まれ。37年に京都帝国大を卒業後、41年から聖路加国際病院の内科医となり、51年米国エモリー大に留学。74年に聖路加看護大学長、92年聖路加国際病院院長、96年同名誉院長。2014年聖路加国際大名誉理事長。99年文化功労者、2005年文化勲章。

専門は循環器内科、予防医学、健康教育、医学教育、看護教育、終末医療、老年医学。54年に日本独自の宿泊型人間ドックを開始。「成人病」から「生活習慣病」への呼称変更を提唱した。医療の主導権を医師が独占している状況を変えるため、看護教育改革にも尽力。聖路加看護大学に国内初の大学院博士課程を設置するなど、チーム医療の推進に力を注いだ。

また1960年代に米英で発展したプライマリ・ケアの概念をいち早く日本に紹介し、普及に努めた。

1970年には乗客としてよど号ハイジャック事件に遭遇。4日間拘束される中で、100人を超える乗客たちの健康管理を行った。聖路加国際病院の院長を務めていた1995年に発生した地下鉄サリン事件では、事件当日に病院に運び込まれた640名もの被害者の治療の陣頭指揮をとった。

多数の著書があり、103歳を迎えた2014年には小社から『だから医学は面白い―幻(ビジョン)を追い続けた私の軌跡』を出版した。

■聖路加国際病院 福井次矢院長のコメント

日野原重明先生は永年にわたり、わが国の医療の向上に多大な貢献をされました。 同時に、医師・看護師教育へのご尽力、国民の健康増進や生き方についてのご提言など、 幅広い功績を残されました。当法人においては 70 年以上にわたり、聖路加国際病院・聖路加看護大学(現聖路加国際大学)の発展を先導され、我々にとって偉大な日野原重明先生を失った悲しみと喪失感は万言を費しても言い表わすことができません。先生の魂の平穏を謹んでお祈り申し上げます。

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