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7対1要件厳格化の行方[お茶の水だより]

No.4864 (2017年07月15日発行) P.18

登録日: 2017-07-13

最終更新日: 2017-07-13

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▶次期2018年度の診療報酬改定に向けた議論が本格化する。入院医療では14年度、16年度改定に続き、7対1入院基本料算定要件の見直し=厳格化がカギとなるが、その行方を占ってみたい。
▶7対1の評価軸は、①平均在院日数、②在宅復帰率、③重症度、医療・看護必要度―の3つ。平均在院日数は前回改定で、「18日以内」に据え置かれたが、12年以降の実績がほぼ横ばいに推移していることから、見直される可能性がある。しかし、地域によっては急性期以降も7対1に入院しなくてはならないケースもあり、一律での短縮にはリスクがある。
▶7対1病棟には中医協の資料から、脳梗塞や心不全などの“超急性期”とがん患者が多いことが分かっている。前者は急性期治療後にリハビリ病棟を経て自宅に戻るというルートが想定される。後者は自宅に復帰するケースが多いが、在宅復帰率にはどちらも同様にカウントされる。急性期機能の適切な評価という観点からも、退院経路を踏まえた上で、平均在院日数と在宅復帰率をどう評価していくかが今後のポイントとなりそうだ。
▶③の重症度、医療・看護必要度はどうか。前回改定では、重症患者割合の基準を25%以上に引上げるなど大きな見直しが行われた。重症患者割合(16年8~10月)については、7割近い病院が「25%以上30%未満」と踏ん張りを見せているが、この指標の見直しは病院経営に大きな影響を与える。支払側はさらなる基準引上げなど厳格化を求めているが、結果的に患者選別を加速させる恐れがあることを考えると、かねて指摘されている内科系項目の追加など、微調整にとどめた見直しが現実的ではないだろうか。

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