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「しかしこのままでは、日本の医療政策が、その時々の権力構造におもねる形で決まっていきはしないか」 日医の中川、松原両副会長が中医協委員を退任【どうなる?診療報酬改定】

登録日: 2017-07-10

最終更新日: 2017-07-10

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日本医師会の中川俊男、松原謙二両副会長は5日、中央社会保険医療協議会総会に出席し、診療側委員の退任挨拶を行いました。中川委員は、「中医協は国民の命と健康を守る最終的な意思決定機関」と述べた上で、診療側・支払側委員双方に対し、「中医協の丁寧で開かれた合意形成のプロセスを守り通していただきたい」とエールを送りました。

中川委員の発言は、ここ数年、政府の経済財政諮問会議などの有識者会議や私的諮問機関から診療報酬の細部にまで踏み込んだ提案が目立つようになった現状を踏まえてのものと思われます。その上で中川委員は、日本の医療政策が中医協をはじめとする厚生労働省の審議会などで丁寧に合意形成のプロセスを踏んで策定されていることが、「国民皆保険としての日本の公的医療保険制度の国際的な評価につながっている」と指摘。「しかしこのままでは、日本の医療政策が、その時々の権力構造におもねる形で決まっていきはしないか、そういう危うさを感じます」と憂慮しました。

一方、松原委員は中川委員同様に、「中医協は日本の医療を決める一番重要な場」とその役割の重要性を強調。「世界医師会に出席すると世界中の医師が『最も医療保険制度がうまく行っているのは日本』と言ってくれる」と述べました。また自身の過去の任期で、混合診療の取り扱いを巡る議論の末に保険外併用療養制度を創設したことについて「判断は正しかった」と振り返り、「これからの高齢者が増える時代、先進医療がさらに増えてきても皆で皆を支え、必要な医療を供給できるよう中医協で議論して、それを守っていただきたい」と述べました。

日医は後任の診療側委員に今村聡副会長と松本吉郎常任理事を推薦。松本純一常任理事を含めた3人体制で、次期診療報酬・介護報酬の同時改定に臨むことになります。


退任の挨拶で改めて中医協の存在意義を強調した中川(右)、松原両委員

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