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精神保健福祉法改正案、警察関与への不安払拭を[お茶の水だより]

No.4862 (2017年07月01日発行) P.18

登録日: 2017-06-29

最終更新日: 2017-06-29

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▶第193回通常国会の重要法案の1つだった精神保健福祉法改正案は、衆議院で審議入りできず継続審議となった。同法案の柱の1つは、昨年7月に発生した障害者施設殺傷事件を踏まえた措置入院制度の見直しだ。患者への医療・生活の支援が退院後も継続されるよう、自治体に対し、支援体制構築に向けた医療・福祉・行政・警察等が参加する協議会設置を義務づける規定が盛り込まれている。
▶法案は4月7日に参議院で審議入りしたものの、その後は迷走が続いた。野党は退院後支援に警察が関与することで「監視強化」を招き、法改正の目的が「精神障害者による犯罪防止」になっていると問題視。厚生労働省は法案の趣旨説明資料から「二度と同様の事件が発生しないよう…法整備を行う」という記述を削除したが、これも野党の反感を買い、塩崎恭久厚労相が陳謝するに至った。
▶措置入院制度の見直しを巡っては、日本精神神経学会が「患者管理やリスク管理のためだけのものとなってはならない」として、法改正に「強い懸念」を表明。障害者施設殺傷事件の再発防止策検討チーム構成員を務めた薬物依存症専門医の松本俊彦氏も、日本弁護士連合会が主催したシンポジウムで、退院後支援への警察関与に疑問を呈している。
▶厚労省は国会審議の中で「基本的に個別の退院後支援計画の策定に警察は関与しない」と答弁。医療機関や自治体が措置入院中に薬物使用を把握した場合の警察通報の是非についても「依存症の治療継続に配慮した情報提供のあり方を検討し、全国的な対応方針を示せないか検討する」としている。しかし、こうした説明が医療関係者と国民の信頼を得るには至っていない。政府は閉会中に警察関与への不安を払拭する必要があるだろう。

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