株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

「パーサビブ静注透析用」、変更時の注意点など解説[新薬FRONTLINE]

No.4862 (2017年07月01日発行) P.23

登録日: 2017-06-29

最終更新日: 2017-06-28

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

小野薬品工業:「パーサビブ静注透析用」、変更時の注意点など解説

透析患者への二次性副甲状腺機能亢進症治療薬として小野薬品工業が今年2月に発売した「パーサビブ静注透析用」(一般名:エテルカルセチド塩酸塩)について従来薬との違いなどを解説するセミナー(共催:日本透析医学会、小野薬品工業)が6月17日、横浜市で開かれた日本透析医学会学術集会・総会で行われた。

二次性副甲状腺機能亢進症は慢性腎臓病の合併症で、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される病態。PTHの過剰分泌により骨からのリンやカルシウムの血中への流出が促進され、骨痛や関節痛などの症状が引き起こされる。「パーサビブ」は副甲状腺にあるカルシウム受容体に作用することでPTHの過剰分泌を抑制し、血中のP値・Ca値を低下させるとされている。

セミナーで講演した横山啓太郎氏(慈恵医大腎臓・高血圧内科准教授)は、従来薬の「レグパラ錠」(一般名:シナカルセト塩酸塩)もパーサビブと同じカルシウム受容体作動薬だが、経口製剤であるため実際には服用していないケースが多いとし、透析ルートから確実に投与でき、安定した血中濃度の維持が容易となる点をパーサビブの特徴として強調。レグパラからパーサビブに変更する際は「ひょっとしたら(レグパラを)飲んでいないかもしれないということも考えて投与してほしい」と述べた。

また、レグパラをすべてパーサビブに変えるのではなく、パーサビブを投与しつつレグパラを半分にしようとすると「相加効果でかなりカルシウムが下がることがある」と注意を促した。

●「パーサビブ」の用法・用量
1回5mgを開始用量とし、週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入。以後は十分な観察のもと、1回2.5mg〜15mgの範囲内で適宜用量を調整し、週3回、透析終了時の返血時に投与


バイエル薬品:「ホスレノールOD錠」発売、CKD患者の利便性向上に期待

バイエル薬品は6月19日、高リン血症治療薬ホスレノール(一般名:炭酸ランタン水和物)の新剤型「ホスレノールOD錠」の販売を同日付で開始したと発表した。

ホスレノールは、シャイアー社が開発・製造した製剤。国内ではバイエル薬品が「慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」を効能・効果として2009年にチュアブル錠、2012年に顆粒分包の製造販売承認を取得している。

ホスレノールOD錠は、服用時に噛み砕く必要がなく、唾液で速やかに崩壊。チュアブル錠に比べ40%、顆粒分包に比べ15%重量を減らし錠剤の小型化を実現した。嚥下機能が低下している高齢患者や水分摂取に制限がある患者の利便性向上に寄与することが期待されている。

高リン血症は、腎機能低下によりリンが排泄できなくなり体内に溜まる病態。高リン状態が続くと骨がもろくなり、また、骨ではないところに石灰化が起こると心筋梗塞や脳卒中につながることがある。末期腎不全患者では余剰のリンを人工透析で除去するが、人工透析で不十分な場合には高リン血症治療薬が必要となる。

●「ホスレノールOD錠」の用法・用量
1日750mgを開始用量とし、1日3回に分割して食直後に経口投与。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減。最高用量は1日2,250mgとする

関連物件情報

もっと見る

page top