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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の良悪性診断と経過観察法【ガイドラインにより明確な指標が示され,精度が向上】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.48

峯 徹哉 (東海大学内科学系消化器内科教授)

登録日: 2017-06-27

最終更新日: 2017-06-27

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高齢化,健診の普及,画像診断の進歩に伴って,膵囊胞病変が指摘される機会は増加している。膵囊胞病変の中でも頻度が高い膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は,それ自体が膵癌の前駆病変であるばかりでなく,通常型膵癌が併存してくることもある。そのため,膵癌の早期発見にはその良悪性診断,経過観察が重要と考えられる。

2012年に「IPMN/MCN国際診療ガイドライン」1)が改訂されて以降,IPMNの良悪性診断率は向上した。①閉塞性黄疸を伴う膵頭部囊胞病変,②CTまたはMRIで造影される充実成分,③主膵管径10 mm以上,を高リスク指標として,1つでもあれば悪性の疑いで切除が推奨されている。また,①造影される囊胞壁肥厚,②主膵管径5~9mm,③造影効果のない壁在結節,④尾側膵管拡張を伴う主膵管狭窄,⑤周辺リンパ節腫大,⑥急性膵炎既往,の6項目を懸念所見として,1つでもあれば超音波内視鏡(EUS)で精査を行い,結節病変の確定をもって切除を推奨するといった,より具体的な指標が示された。これらに該当しない場合には,囊胞径に応じた間隔で経過観察を行うアルゴリズムが示されている。

以前は,囊胞径30mm以上の分枝型IPMNが切除された結果,良性であるといったことが多々あったが,現在ではそのようなことは減っている。現在,分枝型IPMNの経過観察に関する前向き研究がわが国で行われている。さらに的確な経過観察の方法が明らかにされることを期待したい。

【文献】

1) Tanaka M, et al:Pancreatology. 2012;12(3): 183-97.

【解説】

峯 徹哉 東海大学内科学系消化器内科教授

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