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グルタミン酸神経系と統合失調症の病態生理の関連─現状と課題【包括的に病態説明ができる可能性を持ち薬剤開発が進むが,統合失調症という多面的な症候群の説明は困難】

No.4860 (2017年06月17日発行) P.59

内田裕之 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室講師)

中島振一郎 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 特任講師)

登録日: 2017-06-15

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  • 統合失調症の病態や治療効果を説明する際に,現在でも「ドパミン仮説」が主流です。一方で,ドパミン仮説では説明のつかないことも数多く,新たなブレイクスルーが必要となっています。
    近年の画像研究などの進歩により,グルタミン酸神経系と本疾患の病態生理の関連が明らかになりつつありますが,その現状と課題について,慶應義塾大学・中島振一郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    内田裕之 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室講師


    【回答】

    統合失調症のドパミン仮説は,前シナプスのドパミン機能の亢進という近年のPET研究による一貫した報告により支持されています1)。しかし,統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想)に対し,約3割の患者でドパミン受容体拮抗薬(従来の抗精神病薬)は無効です(以下,治療抵抗性統合失調症)。治療反応例ではドパミン生成能が亢進していますが,抗精神病薬に対する治療抵抗例ではドパミン生成能の亢進を認めない可能性があります2)。また,陰性症状(意欲の低下,表出の減少)や認知機能障害に対する抗精神病薬の効果は非常に限定的です。ゆえに,治療抵抗性統合失調症症状を従来のドパミン仮説で説明するには限界があります。これらの症状に対する新たな治療の開発のために,ドパミン神経系以外の観点から統合失調症の病態生理を解明することが急務です。

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