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制御性B細胞と皮膚炎症性疾患【制御性B細胞はIL-10産生を介して炎症・自己免疫反応を抑制】

No.4860 (2017年06月17日発行) P.54

松下貴史 (金沢大学皮膚科講師)

登録日: 2017-06-14

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B細胞は抗体産生のみならず,抗原提示能やサイトカイン産生能を介して免疫応答を促進的に制御することが知られている。しかしながら,近年,B細胞の中に免疫反応を抑制するサブセットが存在することが明らかとなり,制御性B細胞(regulatory B細胞:Breg細胞)として知られるようになった1)。このBreg細胞はIL-10の産生を介してT細胞や抗原提示細胞の活性化を抑制する働きがある。また,BregのフェノタイプについてはマウスではCD9CD80B細胞2),ヒトではCD24highCD 27B細胞3)と報告されている。

Breg細胞は,自己免疫性疾患である多発性硬化症や全身性エリテマトーデスで重要な役割を果たしていることが報告されていたが,近年,皮膚疾患である自己免疫性水疱症,尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎においても,Breg細胞の数の減少や機能低下が報告されている。Breg細胞の機能低下により炎症・自己免疫反応が増強し,これらの皮膚疾患が発症・増悪することが推定されている。

今後,Breg細胞のさらなる解明が期待される。

【文献】

1) Mizoguchi A, et al:J Immunol. 2006;176(2): 705-10.

2) Matsushita T, et al:J Allergy Clin Immunol. 2016;138(4):1170-82.

3) Iwata Y, et al:Blood. 2011;117(2):530-41.

【解説】

松下貴史 金沢大学皮膚科講師

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