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CKD患者のサルコペニアの評価法と対策【SPPBにて評価。運動の重要性が相次いで報告され,運動療法への経済的支援も】

No.4859 (2017年06月10日発行) P.53

成田一衛 (新潟大学医歯学総合研究科腎・膠原病内科学教授)

上月正博 (東北大学大学院医学系研究科・ 医学部内部障害学分野教授)

登録日: 2017-06-07

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  • 近年,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者の栄養不足,サルコペニア,慢性炎症が注目されています。臨床現場における簡便で定量的なサルコペニアの評価方法はあるでしょうか。また,症例によっては栄養過剰(高血糖,脂質異常,蛋白過剰摂取,塩分過多)が問題となります。サルコペニアとの関連ではどのように考え,対策すべきでしょうか。東北大学・上月正博先生にご教示頂きたいと思います。

    【質問者】

    成田一衛 新潟大学医歯学総合研究科腎・膠原病内科学 教授


    【回答】

    サルコペニアは,高齢者のふらつき,転倒・骨折,機能障害,要介護化,フレイルに密接に関連しています。

    サルコペニアの定義は,①筋肉量の減少,②筋力の低下,③身体能力の低下のうち,①と②か③のどちらかがある状態です。

    診断では,①の測定は面倒なので,まず②と③を測定します。②では握力を両手で各3回測り,最高値が男性26kg,女性18kg未満だと「筋力の低下」ありです。③では歩行速度が0.8m/秒以下で「身体能力の低下」ありです。目安は,青信号で横断歩道を渡り切れるかどうかです。②,③とも該当しなければサルコペニアではありません。②,③どちらか一方でも該当すると,サルコペニアが疑われ,確定診断のために①を測定します。dual energy x-ray absorption(DXA)を用いて測定する場合は,骨格筋指数(skeletal muscle mass index:SMI)が男性7.0kg/m2未満,女性5.4kg/m2未満,bioelectrical impedance analysis(BIA)を用いる場合は,男性7.0kg/m2未満,女性5.7kg/m2未満を「筋肉量の減少」ありとしてサルコペニアを診断します。

    サルコペニアの身体能力を簡易に評価するためのテストとしてshort physical performance battery(SPPB)があります。バランステスト,歩行テスト,椅子からの立ち上がりテストの3項目で構成され,スコアは最大12点で,9点未満をカットオフ値としてサルコペニアを診断します。

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