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封入体筋炎の病態と治療【炎症および変性の両面を持ち,抗cN1A抗体測定が診断に有用と報告される】

No.4859 (2017年06月10日発行) P.52

鈴木重明 (慶應義塾大学医学部神経内科専任講師)

森 まどか (国立精神・神経医療研究センター神経内科医長)

登録日: 2017-06-07

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  • 炎症性筋疾患の中で,封入体筋炎(inclusion body myositis:IBM)の頻度が以前考えられていたよりも高頻度であると聞いています。最近,IBMに関連した自己抗体が報告されていますが,臨床的意義,IBMの病態と治療の最新情報を,国立精神・神経医療研究センター・森 まどか先生にご教示願います。

    【質問者】

    鈴木重明 慶應義塾大学医学部神経内科専任講師


    【回答】

    IBMは高齢者に発症する治療抵抗性の慢性筋炎で,わが国でも増加しつつあり,1000~1500人程度の患者がいると考えられています1)。増加の理由として高齢化や生活の欧米化が想定されていますが,病気の原因も含め病態の解明はこれからです。

    筋束内へのCD8陽性T細胞の浸潤,HLA-ABC抗原の筋形質膜での発現など,炎症性筋疾患と考えられる側面があります。炎症性筋疾患としての側面については,近年抗cytosolic 5’-nucleotidase 1A(cN1A,NT5C1A)抗体がIBMの診断に有用という報告がなされています2)~4)。診断感度は検査法にもよるようですが,感度30%程度,特異度は90%程度です。そのため診断マーカーとしての感度は低いものの,疾患特異度は高い抗体であると言えます。また,少数ながら他の炎症性筋疾患や膠原病で検出されていることから,IBMの炎症性筋疾患としての側面を証明する可能性もあります。

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