改正介護保険法が成立したことを受け、日本医師会の鈴木邦彦常任理事は5月31日の会見で、来年4月に創設が決まった新介護保険施設「介護医療院」(用語解説)について、「利用者となる高齢者や転換を検討している医療機関にとって魅力的な選択肢となるよう、(社会保障審議会介護給付費分科会における)人員配置や報酬の議論に臨みたい」と述べた。
会見で鈴木氏は「介護療養病床の多くは4人部屋であり、利用者の半分強が補足給付を受けているとのデータもある」と述べ、現行の医療機関や低所得の利用者に配慮した施設基準にする必要があるとの考えを示した。
現役並み所得者の利用者負担割合を3割に引き上げることについては、「介護保険制度の持続可能性を確保するためには、応能負担を原則とする必要があり、やむをえない」と一定の理解を示しつつ、「これ以上引き上げられないよう今後の経緯を注視したい」とした。
介護納付金への総報酬割導入を巡っては、現役世代の負担増になるとして、健康保険組合連合会の大塚陸毅会長が法成立後、「強い憤りを覚える」とのコメントを発表している。一方、鈴木氏は「社会保障の安定あってこそ経済成長ができるのであり、皆で協力すべきだ。所得が少ない組合に加入している現役世代の負担軽減にもつながる」と強調した。