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代謝性疾患を持つ関節リウマチ・脊椎関節炎の診療上の留意点と治療選択【代謝性疾患は炎症性疾患の活動性を増悪させていると認識し,薬剤特性を考えて治療に臨む】

No.4858 (2017年06月03日発行) P.56

八木田正人 (元・北野病院リウマチ膠原病内科主任部長)

村上孝作 (京都大学医学部附属病院免疫・膠原病内科)

登録日: 2017-05-31

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  • 近年,脂質異常と炎症性疾患との関係が注目を集めています。実際のリウマチ診療でも,肥満の関節炎患者では十分量の生物製剤が使用できませんし,脂肪肝で肝機能障害がある場合,生物製剤を含めたDMARDsの安全性が問題になります。 糖尿病,肥満,高尿酸血症のような代謝性疾患を持つ関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)や脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)患者の診療において,どのようなことに留意して治療選択をすべきか,京都大学・村上孝作先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    八木田正人 元・北野病院リウマチ膠原病内科主任部長



    【回答】

    RAやSpAは免疫異常を背景とした慢性炎症が病態の主座をなす疾患です。一方,代謝性疾患である肥満症,糖尿病,高尿酸血症,脂質異常症は,いずれも慢性炎症と深く関係しています。たとえば,内臓脂肪型肥満症ではアディポサイトカインの一種であるレプチンが過剰に産生されることが知られています。レプチンは視床下部に働き食欲を抑制する役割がありますが,その受容体はマクロファージにも発現しており,TNF-α, IL-6といった炎症性サイトカインの分泌亢進をきたすことが知られています。臨床的には,肥満症で高感度C反応性蛋白(CRP)の増加が認められます。なお,RA患者は低体重となることが報告されています。一見矛盾するようですが,それは慢性炎症によって筋肉量が低下したためであり,脂肪組織の分布は相対的に増加します。

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