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新しいかたちの看取りの「住まい」【制度に則った「施設」ではなく,もう1つの「わが家」としての療養の場】

No.4858 (2017年06月03日発行) P.55

三輪恭子 (よどきり医療と介護のまちづくり株式会社 取締役/地域看護専門看護師)

登録日: 2017-06-01

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コミュニティホスピス「かんご庵」は,よどきり医療と介護のまちづくり株式会社が2016年4月,大阪市東淀川区に地域包括ケアの拠点となるべく立ち上げた「よどまちステーション」の2階にある。1階には,住民が気軽に相談できる「よどまち保健室」と,コミュニティスペースである「よどまちカフェ」があり,住民のヘルスリテラシー向上をめざすとともに,老若男女が集い,つながる場となっている。

「かんご庵」は,住宅型間借り方式の賃貸住宅である6室と,共用スペースとしてリビング,浴室などを有する。制度に則った「施設」ではなく,もう1つの「わが家」として,入居者は医療保険や介護保険などの公的サービスと,24時間常駐する看護師による自費サービスを組み合わせて利用しながら暮らしている。「かんご庵」として,特定の診療所や事業所との提携はしておらず,入居者はかかりつけ医による訪問診療を受け,入居前から利用していた居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションを利用することができる。

入居の対象は,医療依存度が高く「看護」が必要な人であり,長期にわたる住まいというよりは,最期の数カ月の療養の場として,または,病院から自宅への移行期の調整・準備の場としての利用を想定している。病院ではなく暮らしの場で,最期まで入居者自身が活きる力を発揮し,安心して過ごすためのケアを提供するとともに,コミュニティスペースとの一体的な事業により,地域での看取りの文化の醸成や関係職種の教育にも貢献したい。

【解説】

三輪恭子 よどきり医療と介護のまちづくり株式会社 取締役/地域看護専門看護師

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