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せん妄の予防【ABCDEアプローチによって,発生率の低下,持続時間の短縮などが期待できる】

No.4858 (2017年06月03日発行) P.54

山之井智子 (岡山大学麻酔・蘇生学)

森松博史 (岡山大学麻酔・蘇生学教授)

登録日: 2017-05-31

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せん妄は,急性の脳機能障害のひとつの形態として知られ,高い死亡率や入院期間の延長,医療コストの増大,長期にわたる認知機能障害との関連が指摘されている。

せん妄には多くの因子が絡んでいるため,予防を行う上で鎮静や呼吸器のウィーニング,せん妄の管理,早期の離床を組み合わせた方法が示され,その方法は「ABCDEアプローチ」と言われている1)。これは,Awakening and Breathing Coordinationとして日中の覚醒と合わせた自発呼吸トライアル,Choice of sedative agentsとしてベンゾジアゼピン系薬の投与を避けること,Delirium monitoring and managementとして頻回にせん妄患者を観察し,予防できるリスク因子を指摘し,非薬学的な介入を行うこと,Early mobility and Exerciseとして早期の過程からベッド離床を行うこと,からなる。このアプローチにより,せん妄の発生率の低下,持続期間の短縮だけでなく,人工呼吸期間・ICU入室期間・入院期間の短縮,1年後の死亡率の改善も示されている。

2013年には“Clinical Practice Guidelines for the Management of Pain, Agitation, and Delirium in Adult Patients in the Intensive Care Unit”が公表されており,今後もせん妄が及ぼす様々な影響を認識し,予防に努めていく必要がある2)

【文献】

1) Brummel NE, et al:Crit Care Clin. 2013;29(1): 51-65.

2) Barr J, et al:Crit Care Med. 2013;41(1):263-306.

【解説】

山之井智子*1,森松博史*2 *1岡山大学麻酔・蘇生学 *2同教授 

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