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セサミストリート・クリニック・イニシアティブの可能性【OPINION】

No.4857 (2017年05月27日発行) P.18

白岡亮平 (医療法人社団ナイズ理事長キャップスクリニック総院長)

登録日: 2017-05-30

最終更新日: 2017-06-02

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  • セサミストリートは、米国のNPO法人「セサミワークショップ」が「子どもは社会全体の宝」「子どもたちの可能性がすべてに優先する」という理想のもと、子育て支援や教育に関する啓発・意識改革を行うことを目的に、50年近くにわたり制作してきた子ども向けのテレビ教育番組です。セサミワークショップは、子どもたちが「かしこく」「たくましく」「やさしく」育つための支援活動を続けてきました。

    セサミワークショップはこの度、世界に先駆けて日本から、子どもたちの健康づくり、健康の知識向上を支援するため「セサミストリート・クリニック・イニシアティブ」を始めます。クリニックや病院などの医療機関で、子どもたちに健康教育プログラムを提供していくための取り組みです。米ハーバード大学の教育学者が50年近く研究を重ねてきたプログラムであり、医療と教育を融合し、それらにセサミストリートのキャラクターたちの力を加え、小児科、小児歯科向けに提供していきます。

    セサミワークショップは、今回のイニシアティブを発足させる前から、健康に関する様々なアウトリーチプログラムを実践してきました。各コミュニティーが直面している問題やニーズに合ったリソースを提供し続けています。

    例えばアフリカでは、HIVの正確な情報を提供し、治療の重要性を伝えるため、HIVポジティブの「カミ」というキャラクターを登場させ、子どもたちへの教育を行っています。インド、バングラディシュ、ナイジェリアでは、子どもたちが感染症に罹らないよう衛生教育を重視し、キャラクターたちと一緒に「手を洗うこと」を教えています。また、カリブ海沿岸諸国では、ジカウイルス感染症の拡大予防のための方法を伝え、食糧不足と肥満が混在するメキシコやコロンビアなどでは、食を中心とする健康的な生活習慣、家庭での健康管理を重視したプログラムを提供しています。

    そして米国では、68人に1人が自閉症と診断されていることから、自閉症を持つ「ジュリア」というキャラクターと共に自閉症に関する正しい知識や情報を提供しています。

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