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ファブリ病の診断と酵素補充療法の効果【鑑別として念頭に置くことが重要。酵素補充療法は根治療法として有用との報告も】

No.4856 (2017年05月20日発行) P.56

深川雅史 (東海大学内科学系腎内分泌代謝内科教授)

成田一衛 (新潟大学医歯学総合研究科腎・膠原病内科学教授)

登録日: 2017-05-17

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  • ファブリ病は,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の原因となりうる遺伝性疾患ですが,けっこう見落とされています。どのような症例で疑い,どのような検査で診断をつけるのでしょうか。また,酵素補充療法も行われていますが,進行例についても効果が期待されるのでしょうか。新潟大学・成田一衛先生にご教示頂きたいと思います。

    【質問者】

    深川雅史 東海大学内科学系腎内分泌代謝内科教授

    【回答】

    典型的なファブリ病患者は男性4万人に1人と推定されていましたが,近年,非典型例(心ファブリ,腎ファブリなど)や女性ヘテロ症例の存在が認識されるようになりました。左室肥大や心筋症の3~4%,透析患者の1%がファブリ病患者であるとの報告もあります。最近わが国で行われた新生児スクリーニングの報告では,7000人に1人とされています。正確な頻度は今のところ不明ですが,ご指摘の通り,診断されずに見逃されている症例は相当数,国内に存在するものと考えられます。

    学童期に始まる手足の(灼けるような)特徴的な痛みで発症することが多いのですが,臨床症状は多彩です。ほかに明らかな原因がなさそうな四肢末端痛,心肥大や不整脈,腎障害(蛋白尿,腎機能低下),角膜混濁,皮膚所見(被角血管腫),低汗症(体温上昇),難聴,下痢等の消化器症状,若年発症の脳血管障害などを見たときに,まずは本疾患を想起することが最も重要です。

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