株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

乳癌患者に対する運動の効果【関節痛,倦怠感の改善,死亡率低下に対する効果への期待】

No.4855 (2017年05月13日発行) P.49

関 晶南 (聖路加国際病院乳腺外科)

山内英子 (聖路加国際病院乳腺外科部長・ブレストセンター長)

登録日: 2017-05-09

最終更新日: 2017-05-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

がん患者の増加と治療成果の向上によって,がんサバイバーは増え続けている。がんに対する治療だけでなく,がん患者の治療中・治療後の生活や個々人の生き方に対する包括的なアプローチが,よりいっそう求められている。

乳癌はほかのがんと比較し予後が良好であるが,術後の内分泌療法は5~10年という長い内服期間が推奨されるため,副作用による治療の中断も少なくない。

近年,がんに対する運動の効果が注目されており,乳癌も例外ではない。手術や放射線の影響による上肢の運動機能の低下に対してもリハビリテーションは効果的であるが,それだけでなく,内分泌療法による関節痛,倦怠感への効果が多数の研究で認められており1),それに伴うQOLの上昇や体重減少,服薬コンプライアンスの改善なども期待されている。最近では運動による,がん患者の死亡率改善効果についての報告も散見される2)3)。乳癌罹患前の運動習慣だけでなく,診断後より運動を開始した場合でも,その効果が認められることは様々な報告で同様の見解であるが,運動の種類や強度,頻度については,一定の指標がないことが現在の課題である。

筆者らは現在,乳癌術後患者に対し運動療法の研究を行っており,乳癌患者に適した運動プログラムを構築したいと考えている。

【文献】

1) Irwin ML, et al:J Clin Oncol. 2015;33(10): 1104-11.

2) Moore SC, et al:JAMA Intern Med. 2016;176 (6):816-25.

3) Holmes MD, et al:JAMA. 2005;293(20):2479-86.

【解説】

関 晶南*1,山内英子*2 *1聖路加国際病院乳腺外科 *2同部長・ブレストセンター長

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top