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「骨太の方針2015」のポイント:社会保障費の伸び、3年間で1.5兆円「目安」─素案の実質キャップ制は回避、経済成長も勘案

No.4759 (2015年07月11日発行) P.10

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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政府は「骨太の方針2015」を閣議決定した。財政健全化に向け、社会保障費の伸びにキャップをかけるかが注目されたが、素案から表現が変更。3年間で1.5兆円を「目安」とした。

政府は6月30日、経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2015」を閣議決定した。

医療分野の主な項目は下掲の通り。

今回注目されたのは、政府の掲げる財政健全化目標達成に向け、歳出改革の重点課題である社会保障費の伸びに、いわゆる「キャップ」をかけるかどうかという点。最終的には、これまでの3年間の伸びが「高齢化による増加分に相当」する1.5兆円程度に抑えられているとして、「その基調を18年度まで継続していくことを目安とする」とした。 

素案から追加されたのは、「目安」という表現。3年間で1.5兆円のキャップをかけたと見る向きもあるが、「目安」とされたことで、かつて行われたような機械的削減が行われる可能性は低くなったと言えそうだ。日本医師会の横倉義武会長もこの文言修正について「一定の評価をしたい」とコメントしている。

また、甘利明経済再生担当相は閣議決定後の会見で、「経済・物価動向等を踏まえる」点に言及。伸びの上限については経済成長次第との見方を示した。

「後発医薬品使用の原則化」は削除

このほかのポイントは病床数や平均在院日数の地域差是正。地域医療構想を策定する中で、入院受療率に加え、外来医療費の地域差解消を目指すとした。

具体的な改革案については、概ね6月22日に示された素案通りとなったが、検討事項とされていた「保険制度における後発医薬品使用の原則化」は与党での協議を踏まえ削除された。一方、日医などが反対する「外来時の定額負担」の文言は残された。

2016年度次期診療報酬改定に影響を与えそうな項目としては、「機能に応じた病床の点数・算定要件」「かかりつけ医の普及に向けた診療報酬上の対応」「長期収載品の評価見直し」「医薬分業下での調剤技術・薬学管理料の妥当性の評価」などが盛り込まれた。

後発医薬品の使用目標については、17年中頃までに70%以上と明記した上で、20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とすることを求めている。


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