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大動脈弁形成術の適応と成績【大動脈弁閉鎖不全症(AR)の成因分類の発表などにより成績は向上。好成績に伴う適応拡大に期待】

No.4852 (2017年04月22日発行) P.57

福井寿啓 (熊本大学大学院生命科学研究部 心臓血管外科学教授)

國原 孝 (心臓血管研究所付属病院心臓血管外科部長)

登録日: 2017-04-20

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  • 従来,大動脈弁膜症に対しては,弁置換術が第一選択でその成績も安定してきていると思われてきました。近年になり,診断法や治療技術が向上したため大動脈弁に対しても弁形成術が行われるようになってきました。しかしながらその適応や成績については,一般的にあまり知られていないと思います。ドイツでの診療経験が豊富な心臓血管研究所付属病院・國原 孝先生に,大動脈弁形成術の適応と成績についてご教授頂ければ幸いです。

    【質問者】

    福井寿啓 熊本大学大学院生命科学研究部 心臓血管外科学教授


    【回答】

    大動脈弁閉鎖不全症(aortic regurgitation:AR)に対する弁形成術は,いまだ市民権を得ているとは言い難く,独自の2014年の全国アンケート調査では単独の弁形成術はわずかに8%,弁温存基部置換術でも31%しか施行されていませんでした。この背景には,僧帽弁は組織が厚くてvolumeが十分あり,弁形成後の評価(逆流テスト)が容易で,人工腱索再建やリングなどのoptionが多々あるのに対し,大動脈弁は薄くてvolumeが少なく,弁形成後の評価は外科医の経験や主観に頼ってきた側面が強く,人工腱索やリングもなかったという経緯があります。

    そこで2006年に弁尖の高さ(effective height)の客観的な評価が提唱され,2009年に僧帽弁のようにARの成因分類が発表され,並行して様々なannuloplastyが積極的に施行されるようになり,大動脈弁形成術の成績が向上し,近年急速に広まっているのが現状です。

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