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原発性線毛機能不全症の病態と治療 【遺伝子診断の進歩と標準治療確立の試み】

No.4850 (2017年04月08日発行) P.56

折茂圭介 (東京女子医科大学内科学第一講座)

登録日: 2017-04-04

最終更新日: 2017-04-04

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原発性線毛機能不全症(primary ciliary dyskinesia:PCD)は線毛の構造・機能の異常により引き起こされる疾患であり,発症は2万人に1人程度とされる。症状は気道の線毛構造・機能異常によるクリアランス障害で繰り返し起こる上・下気道感染,時に合併する内臓逆位のほか,気道以外に存在する線毛の構造・機能異常による,水頭症,視野・嗅覚障害,不妊症などである。慢性的な気道感染により早期の呼吸機能の低下が起こり,緑膿菌感染の頻度も高く,症状のコントロールは難しい。

診断は,これまで電子顕微鏡による線毛の短軸像での構造異常の有無,生検検体での線毛運動の速度の確認で行われるのが一般的であったが,そもそも症例が少ないことに加え,感染を併発していることが多いこともあり,正確な診断は難しいとされる。ここ10年ほどでPCDを引き起こす原因となる遺伝子が約30個報告されており1),今後の臨床現場での遺伝子診断の活用が期待される。

治療としては,現時点で標準治療はなく,去痰薬,パーカッションベンチレーターなどを使用した理学療法,急性感染時の抗菌薬などの対症療法が行われている。びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)における標準治療であるマクロライド系抗菌薬の長期投与はPCDでも検討されており,いくつかの症例報告で有用性が示唆されている。それらの結果を受けて,アジスロマイシンによる治療についてのランダム化比較試験が現在進行中であり2),結果が期待される。

【文献】

1) Werner C, et al:Cilia. 2015;4(1):2.

2) Kobbernagel HE, et al:BMC Pulm Med. 2016;16 (1):104.

【解説】

折茂圭介 東京女子医科大学内科学第一講座

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