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国際精神保健への誘い 【OPINION】

No.4844 (2017年02月25日発行) P.18

杉浦寛奈 (東京大学医学系研究科博士課程)

井筒 節 (東京大学教養教育高度化機構特任准教授)

馬場俊明 (東京大学大学院医学系研究科精神保健学助教)

川上憲人 (東京大学大学院医学系研究科精神保健学教授)

登録日: 2017-02-23

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    はじめに

    世界保健機関(WHO)は世界保健機関憲章で「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない(外務省訳)」と定義し、健康は身体状態のみでなく精神状態を含むとしている。しかし、2000年に国連が採択した「ミレニアム開発目標(MDGs)」 を含め、感染症や母子保健に注目は行き、精神障害は軽視され、対策の対象から排除されることが多かった。

    近年、開発や国際保健の分野で精神保健は少しずつ注目を集め、2013年にWHO総会で「Mental Health Action Plan 2013-2020」が採択され、これに基づき各加盟国が精神保健向上のために取り組むことを求められている。また、2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)の目標3(健康関連)」の中に「2030年までに、非感染性疾患による早期死亡を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する(外務省訳)」及び「麻薬乱用やアルコールの有害な摂取を含む、薬物乱用の防止・治療を強化する(外務省訳)」という精神保健に関するターゲットが掲げられ、国連加盟国は行動することが求められている。さらに、2016年4月には、世界銀行が初めて精神保健に関する会合「Out of the shadows」を開催した。

    本稿では近年の国際精神保健の動向を記載するとともに、本分野で日本が貢献できることを検討したい。

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