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超難問に挑み始めた現場にエールを [お茶の水だより]

No.4840 (2017年01月28日発行) P.13

登録日: 2017-01-27

最終更新日: 2017-01-26

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▶年の瀬も迫った先月20日、福岡市で開かれた日本肺癌学会の学術集会へ足を運んだ。傍聴した高額薬剤問題をテーマにしたシンポジウムは1000人収容する大会場の6割程度が埋まり、盛況だったように思う。高額薬剤問題は「オプジーボ」の非小細胞肺癌への適応拡大が契機だっただけに、肺癌の専門家たちによる討論は熱が籠っていた。
▶演者の池田修一氏(国際医療福祉大)は「費用対効果評価を導入して薬価を細かく調整したところで、臨床現場にコスト意識がなければ意味がない」と述べ、「財源も念頭に置いた診療」が必要と強調。國頭英夫氏(日赤医療センター)は「医療保険制度を“焼野原”にし、今後の社会を担う世代を切り捨ててはならない」と、臨床医がコスト削減を意識した臨床研究に取り組むべきと訴えた。
▶フロアからは「医師は経済性ではなく患者の利益、薬剤の有効性をどこまでも第一に考えるべきだ」との声も上がった。保険医は納税者と患者の間で「二重の代理人」(double agent)と呼ばれる板挟み状態に陥る。ただ、シンポではその葛藤を超克する術や知恵についての議論はなく、専門家集団の中でも「適正な診療」を探る取り組みは緒に就いたばかりとの印象を受けた。一方、シンポを通じて「臨床的にも経済的にも適正な診療」という超難問に医療界が向き合い始めたことも確認できた。
▶今月17日にパリで開かれたOECD保健相会合の声明では、高額医療の適正利用に向け、各国で政府・医療関係者・製薬業界・患者間の「対話」の促進を求めているが、医療界が対話に臨むには「適正な」診療や保険償還に関してある程度の合意形成が必要だろう。実りある対話が早期に実現されるよう、超難問に挑む医師たちにエールを送りたい。

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公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

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2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
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