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ノロウイルスに有効なアルコール消毒薬とは?【培養技術,代替ウイルスの問題から正確な評価ができていない】

No.4839 (2017年01月21日発行) P.62

小阪直史  (京都府立医科大学附属病院薬剤部)

登録日: 2017-01-18

最終更新日: 2017-01-17

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  • インフルエンザウイルスに対する消毒液および手指消毒薬としては,アルコールが有効です。ノロウイルスに対する消毒液および手指消毒薬としては次亜塩素酸が有効ですが,アルコールは無効であるとされていました。しかし近年,アルコールが主成分であっても,ノロウイルスに対して有効な手指消毒薬があると聞きます。この消毒薬はどのようなものか,濃度,用法・用量も併せて,ご教示下さい。

    (質問者:岐阜県 K)


    【回答】

    擦式手指消毒用アルコールによる手指消毒は,医療現場において最適な手指衛生の手法です。しかし,消毒用アルコール製剤は,ノロウイルスやロタウイルスなど,ウイルス構造に脂質膜であるエンベロープを持たないウイルス(以下,ノンエンベロープウイルス)に対して十分な効果が得られないことから,その手指衛生には,流水と石けんによる手洗いが優先されています。近年,このノンエンベロープウイルスに対しても有効性を示すとされる消毒用アルコール製剤が販売され,医療施設やドラッグストアなどでも見かけるようになりました。

    この,ノンエンベロープウイルスにも有効とされる消毒用アルコール製剤ですが,その主成分はエタノールで,多くの製剤では日本薬局方の消毒用エタノールとして規定される濃度(76.9~81.4 vol%)が含有されています。手指消毒時の用法・用量も,「医療現場における手指衛生のための世界保健機関(WHO)ガイドライン」で推奨されている,手をこすり合わせて乾燥するまでに20~30秒程度かかるくらいの量(1回の手指消毒に対して2~3mL程度)が目安となります。異なる点としては,添加物としてクエン酸水和物,硫酸亜鉛水和物,乳酸,リン酸などを単剤,もしくは複数剤加えることで,その溶液のpHを酸性(2.61~3.62)に調製していることが挙げられます1)

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