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総合感冒薬服用後のショックの原因物質の特定方法は? 【プリックテスト,スクラッチテストを行う】

No.4839 (2017年01月21日発行) P.61

長野 徹 (神戸市立医療センター中央市民病院皮膚科部長)

登録日: 2017-01-17

最終更新日: 2017-01-17

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先日,市販のかぜ薬のパブロン®SゴールドWを服用した直後に冷汗が出て血圧が低下し,救急搬送された患者がいました。アナフィラキシーショックと思われますが,本薬剤には,アンブロキソール塩酸塩,L-カルボシステイン,ジヒドロコデインリン酸塩,アセトアミノフェン,クロルフェニラミンマレイン酸塩,リボフラビン(ビタミンB2),添加物としてセルロース,無水ケイ酸,リン酸水素Ca,デンプングリコール酸ナトリウム,ヒドロキシプロピルセルロース,硬化油,ステアリン酸Mgと,多数の成分が含まれます。このような薬剤でショックの原因物質を特定する方法をお教え下さい。

(質問者:石川県 Y)


【回答】

ご指摘の通り総合感冒薬の内服によるアナフィラキシーショックが疑われるかと思います。

被疑薬であるパブロン®SゴールドWは,6種類の主成分と多数の添加物によって成り立っています。したがって,それらの成分をメーカーから取り寄せ,即時型アレルギーの検査の1つであるプリックテストないしスクラッチテストを(前腕屈側の皮膚表面に微細な傷をつけ抗原を塗布ないし滴下する)行うことにより,原因成分の同定に至ります1)

非常に多数の成分の試験を行うことになるため,アンブロキソール塩酸塩,L-カルボシステイン,コデイン,アセトアミノフェンなど,薬疹の報告の多い成分から検査を開始するのも一法です。スクラッチテストといえども,アレルギー症状が誘発される可能性もあり,ルートを確保した上での検査をお勧めします。

【文献】

1) 大森麻美子, 他:皮膚臨床. 2016;58(1):142-3.

【回答者】

長野 徹 神戸市立医療センター中央市民病院皮膚科部長

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