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ネーザルハイフロー 【従来の呼吸療法に遜色ない有用性が示されつつあり,使用範囲は拡大の見込み】

No.4835 (2016年12月24日発行) P.49

佐々木勝教 (帝京大学救急医学)

坂本哲也 (帝京大学救急医学主任教授)

登録日: 2016-12-21

最終更新日: 2016-12-14

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ネーザルハイフロー(high-flow nasal cannula:HFNC)療法は,経鼻カニューレで高流量の混合ガスを投与できる,新しい概念の酸素療法である。その特徴として,①高流量ガスが死腔のCO2を洗い出す,②PEEP効果(咽頭に陽圧を発生させ,肺胞虚脱予防効果がある),③患者の影響を受けずに正確な酸素濃度を供給できる,④加温加湿器と熱線入り回路により十分な加湿能力がある,などが挙げられる。

近年,従来の呼吸療法との比較研究が相次いで発表され,HFNCの有用性が示されつつある。心臓血管外科術後症例でのBiPOP試験1)ではNPPVと,また急性呼吸不全を対象としたFLORALI試験2)では,フェイスマスク,NPPVとの間で比較検討されているが,いずれも対照群と同等の治療効果が示された。加えて装着時の快適さを考慮した場合,HFNCは今後ますます使用範囲が拡大すると思われる。

また,抜管後のHFNC療法の効果の検討3)では,再挿管率,呼吸不全の発症率がともに減少していることから,再挿管を回避できる有効な手段としても期待できる。

【文献】

1) Stéphan F, et al:JAMA. 2015;313(23):2331-9.

2) Frat JP, et al:N Engl J Med. 2015;372(23):2185-96.

3) Hernández G, et al:JAMA. 2016;315(13):1354-61.

【解説】

佐々木勝教,坂本哲也 帝京大学救急医学 主任教授

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