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中枢性肺胞低換気症候群の病態生理と対応は?

No.4834 (2016年12月17日発行) P.61

陳 和夫 (京都大学大学院医学研究科呼吸管理睡眠制御学講座特定教授)

登録日: 2016-12-13

最終更新日: 2016-12-08

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  • 中枢性肺胞低換気症候群の(1)病態生理,(2)対応について,わかりやすくご指導下さい。

    (質問者:千葉県 M)


    【回答】

    中枢性肺胞低換気症候群は別名,肺胞低換気,中枢性肺胞低換気,特発性中枢性肺胞低換気(idiopathic central alveolar hypoventilation:ICAH),非無呼吸性肺胞低換気,原発性肺胞低換気とも言われます。現状ではICAH(ICD-9-CM code:327.24, ICD-10-CM code:G47.34)と呼ばれることが多くなっています1)。指定難病の肺胞低換気症候群の中核をなす病態です(後述)。

    ICAHの原因は明確にわかっていませんが,高動脈血二酸化炭素分圧(partial pressure of carbon dioxide in arterial blood:PaCO2)に反応する換気応答調節機構に異常があり,反応に乏しくなると考えられています。低酸素に対する反応も乏しくなっています。高PaCO2に対する化学調節機構は延髄にあると考えられていますが,ICAHでは脳画像的な異常はなく,たとえば延髄も含めて脳疾患によって生じた同病態は二次性の肺胞低換気とされます。高PaCO2,低酸素に対する反応は,通常睡眠中に低下しますので,低換気の状態は睡眠中,特に急速眼球運動(rapid eye movements:REM)睡眠中にさらに増悪します。

    ICAHの診断では睡眠中に低換気がみられることと,その低換気が他の疾患〔慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:CO PD)などの肺疾患,側弯症などの胸郭疾患,脳卒中などの神経疾患,筋疾患,鎮静薬投与などによる薬物由来性,肥満,先天性など)〕に由来しないという鑑別が重要です。先天性中枢性肺胞低換気症候群(congenital central alveolar hypoventilation syndrome:CCAHS)の晩発発生症例との鑑別が困難なことはありますが,CCAHSではpaired-like homeobox 2b(PHOX2B)遺伝子異常がみられますので,鑑別可能とされています。

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