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HPV関連中咽頭癌症例に対する新病期分類の提唱【北米の多施設コホート研究を反映した基準がUICC TNM分類 第8版で発表予定】

No.4833 (2016年12月10日発行) P.53

佐野大佑 (横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科講師)

折舘伸彦 (横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科教授)

登録日: 2016-12-08

最終更新日: 2016-12-01

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近年,わが国を含めて世界的にヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるHPV関連中咽頭癌の罹患数が急増している。HPV関連中咽頭癌は,たばこやアルコール曝露の少ない中年男性に多く発症し,早期に所属リンパ節転移を起こし進行癌として発見されるものの,喫煙や飲酒が原因で発症する従来型のHPV陰性中咽頭癌と比較して予後は良好である。従来の頭頸部扁平上皮癌では頸部リンパ節転移が重要な予後規定因子であるが,HPV関連中咽頭癌患者数の増加に伴い,中咽頭癌における最も重要な予後規定因子はHPV感染状態と喫煙歴とされている。

頭頸部扁平上皮癌治療における病期診断にはUICC TNM分類が使用されており,中咽頭癌治療もその例外ではないが,同分類は従来型の中咽頭癌症例を前提として作成されたものであり,ウイルス発癌により生じたHPV関連中咽頭癌においては,正確な予後予測が困難となっている。

このような背景のもと,近年になりHPV関連中咽頭癌に対する新しい病期分類が検証されるようになった。北米の多施設コホート研究の結果により,新たなN分類をもとに,T4症例あるいはN3症例をStage Ⅲとする,HPV関連中咽頭癌症例に対する新病期分類がUICC TNM分類 第8版で発表される見込みである1)。中咽頭癌患者の背景が北米とやや異なるわが国における新分類の適合性を,今後検証する必要がある。

【文献】

1) O’Sullivan B, et al:Lancet Oncol. 2016;17(4): 440-51.

【解説】

1)佐野大佑,2)折舘伸彦 横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科 1)講師 2)教授

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