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デュピュイトラン拘縮に対する治療の進歩【2015年にコラゲナーゼ製剤注射療法が承認され,治療の選択肢が増えた】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.54

根本 充 (北里大学形成外科・美容外科准教授)

武田 啓 (北里大学形成外科・美容外科主任教授)

登録日: 2016-11-30

最終更新日: 2016-11-30

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デュピュイトラン拘縮は日常診療でしばしば遭遇する,手掌腱膜の線維増殖性疾患である。手指拘縮が進行し,日常生活に支障をきたすようになれば治療の適応になる。治療は,主に腱膜切除術や腱膜切開術の手術が行われてきたが,わが国でも2015年7月からClostridium histolyticum由来コラゲナーゼ製剤の注射療法が承認され,治療の選択肢が増えた。

コラゲナーゼ製剤注射療法は2日間にわたる治療法である。初日にコラゲナーゼ製剤を拘縮索に直接注射する。翌日の診察時に拘縮した手指の完全な伸展が認められない場合には,徒手的な伸展処置を行う。それでも十分な効果が得られない場合には,1カ月間の間隔をあけて最大3回まで注射が可能である。

海外では5年間観察したコラゲナーゼ製剤注射療法の治療成績が報告1)されており,その有効性は手術療法と同程度であった。有害事象は軽度から中等度のものとして,注射部位に関連した腫脹,挫傷,疼痛,出血などが報告されている。また,腱断裂や靱帯損傷,アレルギー反応の有害事象も報告されており,コラゲナーゼ製剤注射後には厳重な経過観察が必要である。

コラゲナーゼ製剤注射療法は,デュピュイトラン拘縮の治療に精通していることが重要であり,現時点では適正使用講習会を受講した日本手外科学会手外科専門医のみに使用が認められている。

【文献】

1) Peimer CA, et al:J Hand Surg Am. 2015;40(8): 1597-605.

【解説】

1)根本 充,2)武田 啓 北里大学形成外科・美容外科 1)准教授 2)主任教授

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