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多発性骨髄腫治療における初の抗体薬 [新薬FRONTLINE]

No.4832 (2016年12月03日発行) P.23

登録日: 2016-11-29

最終更新日: 2016-11-28

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ブリストル・マイヤーズ スクイブ:多発性骨髄腫治療における初の抗体薬「エムプリシティ」発売

ブリストル・マイヤーズ スクイブは11月18日、今年9月に日本での製造販売承認を取得した多発性骨髄腫治療薬「エムプリシティ点滴静注用300mg・400mg」(一般名=エロツズマブ)の販売を開始した。薬価は300mgが16万696円、400mgが20万9587円。

多発性骨髄腫は血液がんの一種で、日本国内の患者数は約1万8000人。治療が困難で治療法の選択肢も限られており、アンメット・ニーズの高い疾患とされている。

エムプリシティは、ナチュラルキラー(NK)細胞と骨髄腫細胞に対する2つの作用で抗骨髄腫効果を発揮するがん免疫療法薬。骨髄腫細胞やNK細胞の細胞表面に発現している「SLAMF7」というタンパクと特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体(IgG1クラス)で、多発性骨髄腫治療における初めての抗体薬となる。海外では米国・欧州で承認されている。

対象患者は「再発または難治性の多発性骨髄腫」の患者。レナリドミド(商品名=レブラミドカプセル)およびデキサメタゾン(商品名=デカドロン)との併用で使用する。日本人症例60例を含む国際共同ランダム化非盲検第Ⅲ相臨床試験では、標準治療(レナリドミド+デキサメタゾン)に対し有効性を示し、かつほぼ同等の安全性を示したとされている。

●「エムプリシティ点滴静注用」の用法・用量
レナリドミド+デキサメタゾンとの併用で1回10mg/kgを点滴静注。28日間を1サイクルとし、最初の2サイクルは1週間間隔で4回、3サイクル以降は2週間間隔で2回点滴静注する

ヤンセンファーマ:HIV感染症治療薬「プレジコビックス配合錠」の承認取得

ヤンセンファーマは11月22日、HIV感染症治療薬「プレジコビックス配合錠」(一般名=ダルナビル/コビシスタット)の日本における製造販売承認を同日付で取得したと発表した。
プレジコビックス配合錠は、HIVのプロテアーゼ阻害剤ダルナビル(800mg)と、薬物動態学的増強因子(ブースター)のコビシスタット(150mg)の2成分の配合剤。プロテアーゼ阻害剤としては日本で初めてのコビシスタットとの配合剤となる。海外では欧州で2014年11月に、米国で2015年1月に承認されている。

同剤を使用できるのは①抗HIV薬の治療経験がない患者、②ダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療患者─のいずれかに該当するHIV感染患者。小児HIV感染症に対しては有効性・安全性が確立していないとされている。

従来の治療では、ダルナビル(商品名=プリジスタナイーブ錠)と、ブースターであるリトナビル、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)の計3錠を1日1回服用する必要があったが、プレジコビックス配合錠の登場によりNRTIと合わせて1日1回2錠の服用で済むことになる。ヤンセンファーマは「患者に新たな治療選択肢を提供すると同時に、服薬する錠剤数を減らし、患者の服薬時の負担軽減に寄与する」と配合錠開発の意義を強調している。

●「プレジコビックス配合錠」の効能・効果/用法・用量
【効能・効果】HIV感染症
【用法・用量】1回1錠を1日1回食事中または食直後に経口投与。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること

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