【質問者】
川原央好 浜松医科大学小児外科科長/特任准教授
胃瘻栄養を行っている重症心身障がい児者では,胃瘻造設術前に使用していた経腸栄養剤がそのまま用いられていることが多くみられます。含有する成分が表記されているため栄養管理がしやすいこと,重力落下で注入できるという簡便さがその大きな理由です。しかし,食事を経口摂取したときとは形状が大きく異なる液体栄養剤の使用による下痢,胃食道逆流による嘔吐,ダンピング症候群などのいわゆる液体栄養剤症候群や,稀ではありますが微量元素・必須栄養素欠乏症などが報告されているため,栄養剤の長期単独投与には注意が必要です。
近年,栄養剤を半固形化して胃瘻から投与することで,液体栄養剤症候群の症状を改善させられることがわかってきました1)2)。しかし,日本静脈経腸栄養学会臨床栄養サーベイランス委員会による栄養療法の実施状況に関する全国322施設へのアンケート調査結果報告によると,半固形状流動食の特性として最も重視している点は投与のしやすさ(187施設)でしたが,経腸栄養剤に占める半固形状流動食の使用割合は,回答があった施設の68.2%で0~20%,18.4%で21~40%と,約90%の施設で40%以下にとどまっていました3)。現在の半固形状流動食の製品は,まだ「投与しにくい」と考えられていると言えます。
残り945文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する