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重症心身障がい児者の在宅経腸栄養管理の工夫【半固形状流動食を推奨。さらにミキサー食投与で質の良い胃瘻栄養を行う】

No.4829 (2016年11月12日発行) P.56

川原央好 (浜松医科大学小児外科科長/特任准教授)

高見澤 滋 (長野県立こども病院小児外科部長)

登録日: 2016-11-09

最終更新日: 2016-11-08

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  • 在宅経腸栄養管理を受けている重症心身障がい児者が増加し,胃瘻造設術を小児外科医が施行することが多いため,栄養管理も小児外科医が引き続き担当する機会が増えています。新しい医薬品経腸栄養製剤が導入され,ミキサー食の普及も進み,患者の栄養面とともに保護者の負担も考慮した栄養管理プランが重要と思われます。長野県立こども病院・高見澤 滋先生に具体的なご解説をお願いします。

    【質問者】

    川原央好 浜松医科大学小児外科科長/特任准教授


    【回答】

    胃瘻栄養を行っている重症心身障がい児者では,胃瘻造設術前に使用していた経腸栄養剤がそのまま用いられていることが多くみられます。含有する成分が表記されているため栄養管理がしやすいこと,重力落下で注入できるという簡便さがその大きな理由です。しかし,食事を経口摂取したときとは形状が大きく異なる液体栄養剤の使用による下痢,胃食道逆流による嘔吐,ダンピング症候群などのいわゆる液体栄養剤症候群や,稀ではありますが微量元素・必須栄養素欠乏症などが報告されているため,栄養剤の長期単独投与には注意が必要です。

    近年,栄養剤を半固形化して胃瘻から投与することで,液体栄養剤症候群の症状を改善させられることがわかってきました1)2)。しかし,日本静脈経腸栄養学会臨床栄養サーベイランス委員会による栄養療法の実施状況に関する全国322施設へのアンケート調査結果報告によると,半固形状流動食の特性として最も重視している点は投与のしやすさ(187施設)でしたが,経腸栄養剤に占める半固形状流動食の使用割合は,回答があった施設の68.2%で0~20%,18.4%で21~40%と,約90%の施設で40%以下にとどまっていました3)。現在の半固形状流動食の製品は,まだ「投与しにくい」と考えられていると言えます。

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