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インスリン依存状態糖尿病に対する膵移植・膵島移植  【膵移植は開腹手術によって骨盤腔に移植し,膵島移植は門脈内に点滴で移植する】

No.4787 (2016年01月23日発行) P.52

三田篤義 (信州大学移植外科講師)

宮川眞一 (信州大学外科学第一講座教授)

登録日: 2016-01-23

最終更新日: 2016-10-26

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インスリン依存状態糖尿病は,β細胞の障害により内因性インスリンが産生・分泌されず,生命維持のためインスリン投与が必要となった状態である。治療としては強化インスリン療法が行われるが,血糖値が安定せず,低血糖発作を繰り返すことがあり,膵移植や膵島移植の適応となる。膵移植は,開腹手術によってドナーから提供された膵臓を骨盤腔に移植する臓器移植である。保険収載されていて,臓器移植法が制定された1997年以降,2014年までに208例の脳死下,2例の心停止下,および27例の生体膵移植が行われた。膵臓グラフトの1年,3年,5年生着率はそれぞれ84.7%,77.0%,70.4%である(文献1)。
一方,膵島移植は,ドナーから提供された膵臓から膵島だけを分離し,interventional radiologyにより,門脈内に点滴で移植する組織移植である。手術が不要で患者への負担がより少ないという特徴がある。膵島移植はインスリン離脱が得られるまで複数回の移植が可能であり,2007年までに18名に対して34回移植が行われ,膵島生着率は,1年で76.5%,2年で47.1%,3年で33.6%となっている(文献2)。現在,特定の施設で保険収載をめざして新しい免疫抑制プロトコルを用いた臨床試験が進められている。

【文献】


1) 日本膵・膵島移植研究会膵臓移植班:移植. 2015;50(2・3):179-85.
2) 日本膵・膵島移植研究会膵島移植班:移植. 2015;50(2・3):186-90.

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