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トップ対談:日本の医療の これからを考える─生まれ変わった専門医制度と日本医学会

No.4715 (2014年09月06日発行) P.13

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2022-03-28

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  • 今春、時を同じくして日本の医療に大きな影響を与える2つの組織が誕生した。日本医学会連合と日本専門医機構だ。それぞれのトップである高久史麿会長(日本医学会連合)、池田康夫理事長(日本専門医機構)が、両組織が誕生した意義と今後の医療のあるべき姿について語り合った。


    たかく ふみまろ●1954年東大卒。同大第三内科教授を経て96年自治医大学長。2004年日本医学会会長。14年4月から日本医学会連合会長

    いけだ やすお●1968年慶大卒。同大医学部長を経て2009年早大教授。08年日本専門医制評価・認定機構理事長、14年4月日本医学会連合理事、同年5月日本専門医機構理事長

    編集部:まずは4月の日本医学会連合設立の経緯からお願いします。

    医学研究者の団体として情報発信を強化

    高久:日本医学会は1902年に設立された非常に歴史がある組織ですが、終戦直後に連合国総司令部(GHQ)が日本医師会を解散させ、新しい医師会をつくる時に、医師会の中に日本医学会を置くという定款ができました。それが1947年。それからはずっと医師会の中に医学会があり、経済的にも100%、医師会の支援を受けていました。
    しかし私が会長になってから、2009年に分科会にアンケートをとると、医学研究者を代表して情報発信する新法人の設立に多くが賛成しました。そこで当時、日医会長だった原中勝征先生、副会長だった横倉義武先生(現日医会長)など医師会幹部と、医学会幹部で会談したところ、医学会の法人化を承諾していただきました。
    ただ、定款変更には日医代議員の3分の2以上の賛成が必要で、代議員の中には「医学会が医師会から離れると、医師会が学術団体ではなくなる」という懸念がずいぶんあります。そのため、医師会内の日本医学会はそのままにして、「日本医学会連合」と名前を変えて法人化しました。役員は日本医学会と同じ役員です。
    今後の活動ですが、しばらくは医師会内の医学会も存続して、二本立ての状態が続くと思います。連合には、私が議長の「企画運営会議」のほかに、今問題になっている研究倫理に関する「研究倫理委員会」や、「研究推進委員会」「日本医学会連合あり方委員会」「総務委員会」「財務委員会」を常置委員会として設置しました。
    財務的には、分科会の会費のほかに、医師会からも支援していただいています。完全に独立するためには財政上も独立する必要がありますが、分科会の財政状況もさまざまで、なかなか大変です。
    ただ、医学会が法人化していないと日本医療安全調査機構や日本専門医機構の社員になれませんし、独自の活動を展開するためには、やはり独立した組織であるほうが良いと思います。

    池田:最近では、母体血を用いた出生前遺伝子検査の是非を議論する委員会なども作られました。高久先生が日本医学会の会長になってから医学会全体で考えなければならない問題に関して検討する体制が積極的に作られてきました。

    高久:近い将来、血液検査であらゆる疾患の発症の可能性が分かるような時代が到来しますので、医学研究者の団体である日本医学会連合が情報発信をする必要性は今後ますます増えるでしょう。

    池田:これまでは、医学の問題に関する国の相談先は医師会や個々の学会でしたが、今後は医学会連合に相談していただきたいですね。医学の大きな方向づけを行うのは、各学会を束ねている医学会連合がふさわしい。

    編集部:日本医学会と日本医学会連合の統合時期のメドはありますか。

    高久:しばらくは難しいでしょう。今後も粘り強く、日医に定款変更への理解を求めていくつもりです。

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