株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

良質な睡眠を取るための部屋の明るさとは?【50ルクス以下が推奨され,豆電球程度であれば生理的な影響はない】

No.4794 (2016年03月12日発行) P.59

長島俊輔 (京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻)

若村智子 (京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻教授)

登録日: 2016-03-12

最終更新日: 2016-10-25

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

良質な睡眠を取るためには,真っ暗にしたほうがよいのでしょうか。あるいは,少し明るくしたほうがよいのでしょうか。 (東京都 S)

【A】

寝室空間の光環境は,私たちの睡眠に影響を与える因子の1つです。夜の高照度光は,睡眠に重要なメラトニンホルモンの分泌を抑えます(文献1)。そのため,夜に明るい電灯を付けっぱなしにして寝ることで,メラトニンホルモンの分泌が抑制され睡眠の質を悪化させます。メラトニンホルモンの分泌抑制は50ルクス程度の光でも起こるとされており,メラトニンホルモンを測定する実験では,50ルクス以下の環境で行われることが推奨されています(文献2)。そのため,枕元で読書灯を付けて寝るような場合は,睡眠の質に影響を及ぼす可能性があります。
しかし,天井照明の豆電球程度では,布団やベッドでその電球を直接見たとしてもほとんどが10ルクス未満です。したがって,豆電球や足元灯程度でしたら,睡眠にとって生理学的な影響はないと思います。なお,部屋が真っ暗だと不安という方には,むしろ多少のライトがあったほうがよい場合もありますので,ライトを付けるかどうかは心理的に判断してよいと思います。
文献】
1) Lewy AJ, et al:Science. 1980;210(4475):1267-9.
2) Lewy AJ:Biol Signals Recept. 1999;8(1-2):79-83.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top