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「台湾に続き韓国もリビングウイルを法的担保」 [長尾和宏の町医者で行こう!(64)]

No.4816 (2016年08月13日発行) P.18

長尾和宏 (長尾クリニック)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-20

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  • 韓国でもリビングウイル法制定

    欧米では当たり前であるリビングウイル(LW)は、アジアにおいては2つの国で法的担保されている。まず台湾で、2000年に法的担保がなされた(安寧緩和医療法、以下台湾LW法)。現在の台湾LW法はそう単純なものではなく、いくつかの場面を想定してそれぞれの書式が用意され、家族や友人などの同意を添えた事前指示書の形態を取っている。さらに特徴的なのは、末期がんで入院してからでもLWを表明できる点や、本人の意思が不明であっても家族の同意だけで治療の中止が可能としている点などだ。そこに至った経緯や現状については本連載第40回(2014年7月5日号)で詳しく述べた。

    韓国においても今年2月、延命措置の差し控え・中止を認める法律「ホスピス・緩和医療および終末期患者の延命医療の決定に関する法律(以下韓国LW法)」が制定、公布(2018年施行)されたので、その経緯や現状について紹介したい。

    朝鮮日報は、韓国で成立したLW法を「尊厳ある死、患者が選択」と報じた。一方、日本では京都新聞が「無意味な延命治療、中断可能 尊厳死法で許容」と報じた。この見出しにはいささか違和感がある。「無意味な」「尊厳死法」という既に使われないはずの言葉をまだ使っているからだ。しかし韓国の動向を報じたメディアがあったことは評価したい。

    韓国においてLWは「事前延命医療意向書」と呼ばれ、この文書の作成・登録の方法が法律で定められた。19歳以上の者は延命治療の差し控え・中止とホスピス緩和医療を受ける意思を表明することができるとしている。韓国保健福祉省が定めたLWは、同省が指定する登録機関が受け付け、登録・保管される。そのデータは、上部組織である「国立延命医療管理機関」に集約され、各医療機関からの照会に利用される。いまだLWを表明していない患者が深刻な病態に陥った場合にも、台湾LW法と同様に、延命医療意向書を作成する機会を設けることを定めている。

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