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【一週一話】歯の再生の基礎と臨床応用化に向けた研究

No.4702 (2014年06月07日発行) P.55

辻 孝 (理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターグループディレクター)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-03

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  • 歯科医療は,歯髄や歯周をはじめとする歯の組織の疾患に対する治療をはじめ,歯の喪失に対する治療も広く普及しており,国民の健康や生活の質に大きな役割を果たしている。歯の喪失に対する治療では,入れ歯やブリッジ,歯科用インプラントなど,人工材料による治療が咀嚼機能の回復に有効である一方で,加齢や成長に伴う歯の移動能や知覚など,生物学的機能を回復させる治療法の開発が期待されている。現在,21世紀の新たな医療システムとして再生医療が期待されており,幅広い疾患治療技術の開発が進められている。歯科においても歯髄や歯根膜の再生治療の開発が進められている。

    歯科再生医療の大きな目標は,喪失した歯を再生によって取り戻す「歯の再生治療」である。歯の再生治療は,審美的にも,生理的,機能的にも完全な回復につながる新たな再生治療技術として期待されている。外胚葉性器官のひとつである歯は,胎児期の上皮・間葉相互作用によって誘導された歯胚から発生する。歯科領域では,この歯の発生の仕組みを利用して歯を再生する戦略から,人為的な細胞操作によって歯胚を再生する研究開発が既に30年以上にわたって進められてきた。

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