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(3)実際に感染症が医療機関や施設に持ち込まれた場合の対処[特集:病院・施設における感染症制御]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.32

馳 亮太 (成田赤十字病院感染症科部長)

登録日: 2019-10-15

最終更新日: 2019-10-09

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感染症が持ち込まれたかを察知するためには,平時からサーベイランスを施行することが重要である

施設内での感染症の広がりを調査する際には,検査の限界を理解した上で症例定義を定めるべきである

施設内でのインフルエンザアウトブレイク時には,種々の感染対策の強化と併せて,対象を判断した上で抗インフルエンザ薬の予防投与を検討する

1. 平時からのサーベイランスの重要性

自施設に感染症が持ち込まれたことを認識するためには,医療機関や施設内の患者や入所者がインフルンザなどのあらかじめ定められた感染症に罹患した場合に,感染管理を統括する部署に速やかに報告される体制を整えておく必要がある。また職員がこれらの感染症に罹患して,所属機関以外の病院で診断された場合でも,感染管理を統括する部署に速やかに報告する体制を整備しておくことが重要である。

筆者の施設で,地域における季節性インフルエンザ流行シーズン前の,病棟内インフルエンザアウトブレイクを経験したことがあるが,このアウトブレイクはタイから帰国後にまったく別の疾患の加療のために入院した患者がインフルエンザに罹患していたことが発端であった。このアウトブレイクを察知するきっかけとなったのは,病棟看護師が院外の医療機関を受診してインフルエンザと診断されたことを,速やかに感染管理の部署に伝えてくれたことであった。

ちなみに熱帯地域や亜熱帯地域では,年間を通してインフルエンザが発生しているので,輸入症例が発端となれば,季節外れの病棟内インフルエンザアウトブレイクが起こる可能性もあるので注意が必要である。

本稿では,実際に感染症が医療機関や施設に持ち込まれた場合の対処について,主にインフルエンザの場合の対応を中心に解説する。

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