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⑦ウイルス:ウイルス性出血熱[特集:わが国で注意が必要な“熱帯病”]

No.4976 (2019年09月07日発行) P.32

加藤康幸 (国際医療福祉大学医学部感染症学教授)

登録日: 2019-09-09

最終更新日: 2019-09-04

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【日本での流行予測】

【ワクチン】


   

1 世界の発生動向

ウイルス性出血熱は狭義には感染症法で1類感染症に指定されるエボラ出血熱,マールブルグ病,ラッサ熱,南米出血熱,クリミア・コンゴ出血熱の総称である(表1)3)

エボラ出血熱とマールブルグ病は,アウトブレイクの発生状況により患者数が大きく変化する。2018年8月に始まったコンゴ民主共和国(Democratic Republic of Congo:DRC)におけるエボラ出血熱のアウトブレイクは2019年8月現在も終息しておらず,患者数は2800人を超えている4)。欧米やわが国では旅行者の持ち込みや実験室内感染による患者発生が稀に報告されている。ラッサ熱が最も多く,2000〜16年に15例が報告された5)。わが国では1987年にシエラレオネからの帰国者の症例が報告されている(二次感染なし)6)

2 媒介生物

病原体によって媒介生物は異なり,感染環における役割も複雑である(表2)。

いずれの疾患も患者の体液との接触によりヒト─ヒト感染が発生するが,エボラ出血熱とマールブルグ病において最も感染性が高いと考えられる。

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