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②寄生虫:トリパノソーマ症・リーシュマニア症[特集:わが国で注意が必要な“熱帯病”]

No.4976 (2019年09月07日発行) P.22

平山謙二 (長崎大学熱帯医学研究所免疫遺伝学分野教授)

登録日: 2019-09-09

最終更新日: 2019-09-04

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【日本での流行予測】

【ワクチン】

 

1 世界の発生動向

(1)トリパノソーマ症

睡眠病を発現するアフリカトリパノソーマ症とシャーガス病(クルーズトリパノソーマ症)がある。前者はアフリカの限定された地域の風土病で,後者は中南米から北米の一部に広く蔓延し,移民等とともに欧州,日本,オーストラリアへと拡大し問題となっている。シャーガス病は世界で600~700万人が感染し,そのうち約1万人が毎年死亡している。

(2)リーシュマニア症

吸血性のサシチョウバエにより媒介されるが,多くの場合ヒト以外にも保有動物が存在する。20種ほどの原虫種が世界に分布し,大きく3つの病型が存在する。①内臓リーシュマニア症(カラアザール),②皮膚リーシュマニア症,③皮膚粘膜リーシュマニア症である。①は東アフリカ,インドを中心に年間5~9万人の感染者が存在し,無治療の場合95%が死亡する,②は最も多く,南米,地中海,中東などで60~90万人,③はボリビア,ブラジル,エチオピア,ペルーなどで10万人ほどの感染者が毎年出ている。

2 媒介生物

シャーガス病を媒介するサシガメは数種類存在するが,それぞれに写真のような特有の模様がみられる(左図)。右図はリーシュマニアを媒介するサシチョウバエである。

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