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発疹[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(16)]

No.4715 (2014年09月06日発行) P.40

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

梅林芳弘 (秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学講座准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • 病 歴

    47歳,男性。主訴は発疹。2日前,常用している市販の感冒薬を飲んだところ,翌日,全身に発疹が出現した。

    スナップ診断

    「薬剤を内服後に発疹」というパターンは,単純に薬疹を思わせる病歴である。しかし,薬疹様の発疹を呈する感染症(麻疹,風疹,伝染性単核症,ツツガムシ病)かもしれないし,原因を特定できない(多形紅斑,中毒疹)かもしれない。疾患の頻度を考えて,湿疹や蕁麻疹も挙げておく。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    「発疹」とは皮膚に現れる「変化」すべてを指す症候名であるから,「発疹」を対象とする場合,対峙すべきは皮膚疾患すべて,ということになる。皮膚疾患の総数は2000~3000以上とされている1)2)ので,網羅的なアルゴリズムは非現実的である。
    一方,皮膚疾患を85の疾患群に分けると,「その他」に分類されるのは約1%である3)から,「その他」を除いた84の疾患群を押さえれば皮膚疾患の99%をカバーできることになる。もっとも,数千を84にまで減らしたとはいえ,これでもまだ多いので,もっと大雑把に4つのカテゴリーに分けて考えるとよいだろう(図1)。すなわち,皮膚疾患の78%は「炎症」であり,そのうちの53%はステロイドが有効という意味で「アレルギー」,残り25%は「感染症」である。「炎症」(78%)以外の皮膚疾患のうち,11%は「腫瘍」,6%は「外傷」である。これで皮膚疾患の95%がカバーできる。
    本症例では,病歴から「外傷」は除外される。全身性の発疹を呈する「腫瘍」はリンパ腫くらいであるが,本症例は急性発症である点から考えにくい。したがって,カテゴリーに基づいて推測するなら,本症例の診断としては「アレルギー」ないし「感染症」を2:1くらいの比率で考えることになる。この中で,全身に発疹を呈する疾患を「考えられる疾患」に,特に重篤となりうる疾患を「見逃し注意!」に列挙した。

    私のクリニカルパール

    皮膚疾患は,約50%が「アレルギー」,25%が「感染症」,約10%が「腫瘍」で,あとは「外傷」と「その他」がそれぞれ5%程度。

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