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めまい[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(9)]

No.4704 (2014年06月21日発行) P.46

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

清田雅智 (飯塚病院総合診療科診療部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-29

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  • 病 歴

    64歳,女性。1カ月前からめまいを感じていた。特に,起き上がるときに発症する。脳梗塞ではないかと心配して,近くの脳神経外科にて頭部CT検査を行ったが,異常はないと言われた。しかし,その後もめまいが持続するため,耳鼻科も受診したが,やはり異常は指摘されなかった。原因がわからず,いまだに症状が持続するため,当院を受診した。

    スナップ診断

    「64歳,女性,1カ月持続して,起き上がるときに誘発される,頭部CT検査や耳鼻科受診では異常がはっきりしないめまい」という情報から,鑑別されていない,不安障害,起立性低血圧をまず疑う。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    めまいは,生理的めまい(乗り物に乗った後,睡眠障害時)のように明らかな誘因がない場合には,4つのカテゴリーで考えることを昨年4月の特集(No.4644,p53参照)で記した。すなわち,①回転性(vertigo),②浮動性(dizziness),③前失神(presyncope),④平衡障害(dysequilibrium),である。
    本症例の病歴は1カ月と長く,①のカテゴリーで頻度の高い良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)は通常2週間程度でおさまるため,可能性が低い。③で問題となる出血や脱水も,このように長く続くことはない。そうすると,②で問題となる精神疾患と④に含まれる下肢神経異常の鑑別が精査の主な対象となる。

    私のクリニカルパール

    脳神経外科と耳鼻科受診で異常がはっきりしないめまいでは,不安障害を考える。

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