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高齢がん患者における総合機能評価の有用性や妥当性,地域連携への活用法は?【今後の臨床試験で,国ごとの医療事情に沿った具体的な活用法の確立が望まれる】

No.4915 (2018年07月07日発行) P.57

山本 寛 (東京都健康長寿医療センター呼吸器内科部長)

長島文夫 (杏林大学医学部腫瘍内科教授)

登録日: 2018-07-07

最終更新日: 2018-07-03

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  • 高齢がん患者の治療機会が増加する中,その治療適応の判断や薬物選択の最適化に有用なツールが求められています。Cancer-Specific Geriatric Assessment(CSGA)日本語版の開発に携わり,高齢がん患者における総合機能評価の活用に詳しい杏林大学・長島文夫先生に,高齢がん患者における総合機能評価の有用性や妥当性,地域連携への活用について解説をお願いします。

    【質問者】

    山本 寛 東京都健康長寿医療センター呼吸器内科部長


    【回答】

    老年医学の領域で有用性が報告されている総合機能評価は,がん診療においてもその活用が期待されています。非高齢者において各がん腫のステージごとに確立している標準治療が,高齢者やフレイルと考えられる対象にも導入が可能で治療効果が得られるかどうかは,個々の患者の状態によって大きく異なります。

    「高齢がん患者において,高齢者機能評価の実施は,がん薬物療法の適応を判断する上で有用か?」については,ランダム化比較試験を含めて報告があります。複数の観察研究において,高齢者機能評価を実施することで予後予測,有害事象予測等に有用であると示唆される結果が得られています。CARGスコア1),CRASHスコア2)など,高齢者機能評価をもとにした有害事象の予測スコアが,米国を中心に実地診療でも利用されています。国際老年腫瘍学会では,高齢者のがん診療においてその実施を推奨しており,身体的・精神的・社会的フレイルを評価した上で,治療強度を調整することが提案されています。

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