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急性期脳梗塞に対する血管内治療の進歩【グレードAの治療となった血栓回収療法】

No.4915 (2018年07月07日発行) P.53

飯星智史 (札幌医科大学脳神経外科)

登録日: 2018-07-06

最終更新日: 2021-01-07

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t-PA無効例,禁忌例に対して血管内治療(血栓回収療法)を行うことで,t-PA治療単独と比較して良好な予後を示す論文がいくつも発表され,いくつかのサブ解析も相次いで報告された。それによりAHAのガイドラインは改訂され,そしてついに2017年9月,わが国でも「脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017]」が発表され,急性期脳梗塞に対する血管内治療(血栓回収療法)はグレードAの治療となった。

15年にAHA/ASAから発表された16項目のうち特に重要な項目(Class 1エビデンス)を抜粋する。

①血管内治療を考慮する場合,適応があればrt-PA静注療法を行うべきである。

②以下の基準をすべて満たす場合,ステントリトリーバーを用いた血管内治療を行うべきである。
a.発症前の日常生活が自立している(mRS 0~1),b.発症4.5時間以内にrt-PA静注療法を施行されている,c.閉塞血管が内頸動脈または中大脳動脈M1部である,d.18歳以上,e.中等度以上の神経症状(NIHSSスコア 6点以上),f.虚血病変が広範囲でない(ASPECTS 6点以上),g.発症6時間以内に治療開始可能。

③発症6時間以内かつ可能な限り早くTICI 2b~3の再灌流を得るべきである。

*時間経過により予後良好となる確率が低下していくことをチームとして共通理解し,時間短縮をする努力を院内スタッフ全員が心がける必要がある。推奨される理想的な治療時間の流れは,来院からt-PA投与まで30分,来院から大腿穿刺まで60分,来院から血栓回収完了まで90分を目標とする。

【解説】

飯星智史 札幌医科大学脳神経外科

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