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婦人科悪性腫瘍に対する鏡視下手術の適応と限界【子宮体癌,子宮頸癌に行われ適応症例は拡大中。進化に伴い,新たな備えも必要に】

No.4914 (2018年06月30日発行) P.56

津田尚武 (久留米大学産婦人科講師)

牛嶋公生 (久留米大学産婦人科主任教授)

登録日: 2018-07-01

最終更新日: 2018-11-28

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婦人科悪性腫瘍に対する鏡視下手術は子宮体癌,子宮頸癌に対して行われている。保険収載されているのは子宮体癌ⅠA期(病理組織型:類内膜腺癌Grade 1)に対しての腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術のみであり,早期かつ高分化型の再発低リスク群に限定されている。進行期ⅠB期以上もしくは特殊組織型に対しては,正確な進行期決定のためにも傍大動脈リンパ節の転移検索が必要であり,同部位の生検術もしくは郭清術を行う必要がある。そこで,ⅠA期でGrade 3もしくは特殊型(漿液性腺癌,明細胞腺癌,癌肉腫など)のもの,またはⅠB期もしくはⅡ期に対しての腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術が2017年7月に先進医療Aとして承認された。

子宮頸癌に対しての腹腔鏡下広汎子宮全摘出術は,14年12月に先進医療Aとして承認された。適応症例は子宮頸癌ⅠA2,ⅠB1,ⅡA1期である。また,内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術が先進医療Bに承認されている。対象症例はⅠB期以上,ⅡB期以下の扁平上皮癌,あるいはⅠA2期以上,ⅡB期以下の腺癌(リンパ節転移および腹腔内臓器に転移していないもの)とされ,腫瘍径の大きなⅠB2期や基靱帯浸潤のあるⅡB期もその適応に含まれている。

婦人科悪性腫瘍手術における鏡視下手術は,適応症例の拡大が進んでいる。拡大視野での精密な手術が可能である一方,血管損傷など術中合併症に対する十分な備えが必要である。

【解説】

津田尚武*1,牛嶋公生*2 *1久留米大学産婦人科講師 *2同主任教授

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