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片側腎摘除した高血圧患者へのアルドステロン・レニン測定は必要か? 【心血管イベントの予防,残存腎機能の維持という観点で有用】

No.4913 (2018年06月23日発行) P.61

坂本竜一 (九州大学病院内分泌代謝・糖尿病内科)

小川佳宏 (九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 (第三内科)教授)

登録日: 2018-06-23

最終更新日: 2018-11-28

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片側腎摘除の既往がある初診の高血圧患者で,二次性高血圧の有無を精査する場合のアルドステロン・レニン測定の必要性を,測定値の解釈も含めてご教示下さい。

(新潟県 N)


【回答】

二次性高血圧の精査における血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration:PAC),血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)測定の意義として最も大きいものは,原発性アルドステロン症のスクリーニングです。

原発性アルドステロン症は治療抵抗性高血圧の原因となること,本態性高血圧患者と比較し心血管合併症のリスクが高いことが知られています1)。また,特異的な治療(片側副腎が原因であれば副腎摘除,両側副腎が原因であればアルドステロン拮抗薬による薬物療法)により良好な治療反応性を示しますし,特に手術適応例においては高血圧の治癒が期待できます。片側腎摘除時にも副腎は温存されていることが多いことから,片側腎摘除後の高血圧患者でも原発性アルドステロン症のスクリーニングを行うことは,心血管イベントの予防,特異的治療による血圧コントロールを介した残存腎機能の維持という観点で有用と考えます。

片側腎摘除のPAC,PRA測定値への影響については,摘除後急性期にはPRA,PACともに低下傾向ですが,個人差はあるものの経時的に元に戻ると報告されています2)。したがって,通常の原発性アルドステロン症のスクリーニング基準として推奨されている「PAC(pg/mL)/PRA(ng/mL/時)比200以上かつPAC>120pg/mL」を用いて,スクリーニングを行えばよいと考えます3)

【文献】

1) Yoshimoto T, et al:Endocr J. 2007;54(3):359-70.

2) Ohashi N, et al:Intern Med. 2016;55(23): 3427-33.

3) 日本内分泌学会, 他, 編:日内分泌会誌. 2016;92 (Suppl):19.

【回答者】

坂本竜一 九州大学病院内分泌代謝・糖尿病内科

小川佳宏 九州大学大学院医学研究院病態制御内科学 (第三内科)教授

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