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  2. 特集「低線量被曝といかに向き合うか」試読ページ1
低線量被曝の健康影響
年間数mSvの被曝は絶対許容できないレベルなのか

鈴木 元すずき げん)
国際医療福祉大学クリニック院長
元放射線医学総合研究所臨床免疫室長

1975年東大卒.医学博士.85年放射線医学総合研究所障害臨床部,89年より同臨床免疫室長,
2000年放射線影響研究所臨床研究部長などを経て,2009年国際医療福祉大クリニック,2011年
より同院長.99年の東海村JCO臨界事故では主治医として重症者2名の治療に携わる.


summary
私たちの世界には,元々さまざまな健康リスク要因が存在する.被曝という1つのリスク要因を減ら
すために,別のリスク要因を増やしていないかどうか,バランスの良い判断が必要である.そのため
には,被曝リスクのおおよその大きさを知ることが基礎となる.本小論では原爆被爆者の疫学調査
から得られた5mSv被曝時の健康リスクの大きさを示し,その妥当性を論ずる.

はじめに
福島原発事故後,福島県や近隣県の被災者にとどまらず,日本中の国民が低線量被曝に神経を尖
らせている.100 mSv未満の被曝ではリスクはなく安全であるという研究者がいる一方,低線量の
リスクは解明されておらず,特に低線量の内部被曝はリスクが高いという研究者がいる.これでは国
民が混乱し,かつてチェルノブイリ事故後に放射線に対する恐怖のために,旧ソ連邦だけでなく欧州
各国で堕胎が増加した苦い経験を日本でも再現しかねない.また旧ソ連邦では不安のため,アルコ
ール依存症や被曝線量と全く相関のない心因性疾患の増加が報告されているが,同じ事態が日本
でも起こりかねない.この背景には,年間5〜10mSvという低線量被曝のリスクの大きさを認知しき
れていないため,その受容ができていないことがあると思われる.

本小論においては原爆被爆者の疫学研究により得られたリスク係数を使って,年間5 mSvの被曝リ
スクの大きさを示す.そして,原爆被爆のデータから低線量・低線量率の遷延被 曝のリスクを推計す
る妥当性を議論する.これらの議論を通じて,原爆被爆者集団の疫学 調査から得られたリスク係数を
使う評価が低線量・低線量率遷延被曝のリスクの上限,す なわち,あったとしてもリスクはそれ以下
に収まるであろうことを示していきたい.

なお,以下の文章では混乱を避けるため,オリジナル論文でmGyあるいは旧単位で書かれている場
合でも,mSvで表記している.

(本論の続きは、日本医事新報12月31日号をご覧ください) 

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