株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

WMA 医の倫理マニュアル

全医療者必携の書が待望の改訂!

定価:1,650円
(本体1,500円+税)

数量

カートに入れる

監訳: 樋口範雄(東京大学法学部教授)
判型: B5判
頁数: 128頁
装丁: カラー
発行日: 2016年08月10日
ISBN: 978-4-7849-4172-8
版数: 原著第3版
付録: -

世界医師会(WMA)が2015年に刊行した「Medical Ethics Manual 3rd edition 2015」の日本語版です。原著は既に22カ国語に訳されており、医の倫理に関する世界基準とも呼べる内容となっています。医療現場の臨床医、看護師はもちろん、医学生、保健・福祉関係者など医療に関係する方々すべてにとって必要な倫理要項が簡潔に記された、まさに「バイブル」となる一冊です。

目次

はじめに
■1 医の倫理とは?
■2 なぜ医の倫理を研究するのか?
■3 医の倫理、医師の専門職意識、人権、法
■ 結 論
第1章医の倫理の主要な特徴
■ 目 標
■1医療に特有なこととは?
■2 医の倫理に特有なこととは?
■3 何が倫理的かを誰が決めるのか?
■4 医の倫理は変化するのか?
■5 医の倫理は国により異なるのか?
■6 WMAの役割
■7 WMAは何が倫理的かをどのように決めるのか?
■8 個々人は何が倫理的かをどのように決めるのか?
■ 結 論
第2章 医師と患者
■ 目 標
■ ケース・スタディ1
■1医師・患者関係に特有なこととは?
■2個人の尊重と平等な扱い
■3コミュニケーションと同意
■4判断能力のない患者のための意思決定
■5 守秘義務
■6出生に関する問題
■7終末期に関する問題
■ ケース・スタディを振り返って
第3章 医師と社会
■ 目 標
■ ケース・スタディ2
■1 医師と社会の関係に特有なこととは?
■2 二重忠誠
■3 資源配分
■4 公衆衛生
■5 国際保健
■6 医師と環境
■ ケース・スタディを振り返って
第4章 医師と同僚
■ 目 標
■ ケース・スタディ3
■1医学的権威に対する問題提起
■2同僚医師、教師、学生との関係
■3 安全でない行為や非倫理的な行為の報告
■4他の医療専門職との関係
■5協 力
■6対立の解消
■ ケース・スタディを振り返って
第5章 倫理と医学研究
■ 目 標
■ ケース・スタディ4
■1医学研究の重要性
■2臨床実務における研究
■3倫理要件
■ ケース・スタディを振り返って
第6章 結 論
■1 医師の責任と特権
■2 自分自身に対する責任
■3 医の倫理の未来
付 録
■付録A 用語解説 
■付録B インターネット上の医の倫理に関する主な情報源
■付録C 世界医師会(WMA):全世界の医学校のカリキュラムに医の倫理と人権を含めることに関するWMA決議
世界医学教育連盟(WFME):質向上のための国際基準・基礎医学教育
■付録D 医学校における倫理教育強化のために
■付録E ケース・スタディ(追加) 
■『WMA 医の倫理マニュアル 原著第3版』日本語版付録
・WMAジュネーブ宣言
・WMA医の国際倫理綱領
・WMAヘルシンキ宣言⊖人間を対象とする医学研究の倫理的原則
・患者の権利に関するWMAリスボン宣言
・プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMAソウル宣言
・医師主導の職業規範に関するWMAマドリード宣言

もっと見る

閉じる

序文

Dr.Delon Human
WMA事務総長
医の倫理の基礎を作った人たちにはヒポクラテスなどがいます。彼らが医の倫理について書にまとめたのは2000年以上も前のことです。信じがたいことに、医の倫理を教えるために医師が普遍的に利用できる基礎的なカリキュラムは今日までありませんでした。この空白を埋めるために『WMA医の倫理マニュアル』が初めて作成されました。このたび本書が刊行されるに至ったことを大変名誉に思っています。
本書の構想は1999年の第51回WMA総会にまでさかのぼります。各国の医師会を代表して世界から集まった医師が、「医の倫理と人権をカリキュラムの必須科目とすることを全世界の医学校に対して強く勧告する」ことを決議しました。これを受けて、すべての医学生と医師を対象とした、医の倫理の基礎教材を作成する準備が始まりました。本書はWMAの方針を踏まえていますが、WMAの方針文書そのものではありません。WMA倫理部門が指導してとりまとめた、世界規模での創意と意見交換の成果であると言えます。
現代の医療ではきわめて複雑で多面的な倫理的ジレンマが引き起こされています。医師はこれらに適切に対応する準備が多くの場合できていません。本書は、医師の倫理的な思考と実務を強化し、これらのジレンマに倫理的な解決策を見出すためのツールとなるように構成されています。「正しいことと誤ったこと」のリストではなく、健全で倫理的な意思決定の基礎となる医師の良識を高める企画なのです。そのためいくつかのケース・スタディが紹介されており、チーム内での議論だけでなく、個人的に倫理について熟考するときにも役立つようになっています。
倫理と信頼という枠組みのなかで、科学的知識と治療との交流を促す独特な人間関係という患者・医師関係に携わることは、医師に与えられた名誉ある権利であると思われます。本書では医師が関わるさまざまな関係において生じる問題を扱っています。その根底にあるのは常に患者・医師関係です。最近、人的および資金面の制約などに直面していますので、本書は倫理的な行為を通してこの絆を強化する必要性を示しています。
最後になりますが、医の倫理の議論においては常に患者が中心です。倫理上、治療に関わるどのような決定においても患者一人ひとりの最善の利益を第一に考えるべきだということは、ほとんどの医師会の基本政策において認められています。この『WMA医の倫理マニュアル』が、医学生や医師が日頃直面する多くの倫理問題を解決に導き、患者第一(TO PUT THE PATIENT FIRST)という原則を実践する方法を見出す一助となれば幸いです。

もっと見る

閉じる

関連書籍

もっと見る

関連記事・論文

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top